2014/01/29

「人それぞれ」という言葉は、ずるいと思う。

こちらが何か意見や考えを言うと、すぐに「でも、それって人それぞれじゃん」と反論してくる人がいる。

この「人それぞれ」という反論の仕方、一見すると筋が通っているような気がするが、実はそうではなく、「わたしはあなたの意見など聞きたくありません」と遠回しに言い換えているだけのようにわたしは思える。特に、なにかにつけて“すぐに”そう言ってくる人は、その可能性が高い。

彼らは要するに、「人それぞれ……」の「人」という言葉を「隠れ蓑」にしているだけなのではないか? 本当は、「自分はそんな意見や考え、聞きたくない」という言い分があるのに、「自分は……」を主語にはせず(できず)、「人」などという漠然とした言葉を使うことで、あたかも「自分以外の大勢の人たちも、そんなふうには思っていませんよ」という“ことにしたい”のだと思う。そうやることで、相手の意見や考えを寄せ付けないようにしているのだ。同時に、「自分」というものも守れるのだから、彼らからしてみれば、これは「一石二鳥」な手である。

なにかにつけて“すぐに”「人それぞれ」と言い出す人には、注意したほうがいいと思う。第一、言葉遊びのようだが、「それって人それぞれじゃん」という考えや言い分だって、「人それぞれ」である。

また、自分から“すぐに”そう言い出すことにも気をつけたほうがいい。なぜなら、もしかしたら、相手の意見や考えが「良薬、口に苦し」ということもあるからだ。なんでもかんでも、ちょっと気に食わないことを言われて「そんなの、人それぞれじゃん」と言い返していたら、言われた側は、たとえ有益な情報があったとしても、当人には言わなくなるだろう。まあ、「人それぞれ」至上主義者は結局のところ、「人それぞれ」と言いつつ、「自分」至上主義者なのだから、別に困ることはないのだろうが。

「人それぞれ」――いろいろな意味で非常に「便利な」言葉だが、同時に非常に「ずるい」言葉でもある。
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