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2011/04/16

私とみすずと人間観察と ― 『金子みすゞ童謡集』

金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)金子みすゞ童謡集 (ハルキ文庫)
(1998/03)
金子 みすゞ

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今再び注目を集めている金子みすず。

私は色んなジャンルの新書をたくさん読むのだが、文芸作品だけはほとんど読まない。

しかし、某CM効果により、急に金子みすずの詩が読みたくなってしまった。







金子みすずという詩人を知ったのは小学校低学年の頃だったと思う。

きっかけは『私と小鳥と鈴と』という詩。


私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。

私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように、
たくさんの唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。


幼い頃は、この詩を読んでも、何もピンと来なかったが、今はなんだかジワジワと心にしみてくる。

金子がこの詩を書いたというのも、おそらく当時の日本人は、人と違うということに対して不寛容だったのだろう(今もそうかもしれない)。果たしてそれは、いいことなのか。そう疑問に思った彼女は、なんら小難しい言葉を使わずに、しかし意味深長なこの詩をつくって、読む者を考えさせる。

誰でも知っている、誰でも想像できる具体的なものや情景を詩に織り込んで、そこから人間とは何か、生きるとはどういうことか、などといった哲学的な問いを引き出す ― これが金子のスゴイところ。

たぶん、彼女は人間観察が大好きな人だったと思う。その点は私も同じ。観察していて、こんなにも面白く、こんなにも考えさせてくれる、そして悩ませる生き物というのは、人間以外にありはしない。


もう一つ、気に入った詩をご紹介。


誰がほんとをいうでしょう、
私のことを、わたしに。
よその小母(おば)さんはほめたけど、
なんだかすこうし笑ってた。

誰がほんとをいうでしょう、
花にきいたら首ふった。
それもそのはず、花たちは、
みんな、あんなにきれいだもの。

誰がほんとをいうでしょう、
小鳥にきいたら逃げちゃった。
きっといけないことなのよ、
だから、言わずに飛んだのよ。

誰がほんとをいうでしょう、
かあさんにきくのは、おかしいし、
(私は、かわいい、いい子なの、
それとも、おかしなおかおなの。)

誰がほんとをいうでしょう、
わたしのことをわたしに。


この、何とも言えない、ジワジワ感。

私だったら、「人間というのはだね、偽善に満ちた生き物であって、本当のことなど言わぬものなのだよ」などとエラソウに上から目線で言ってしまいそうだ。身も蓋もない。決して詩にならんよね。

金子みすずの詩の良さって、ちょっとした謎やちょっとした問いを、読者の前に置き去りにしていくところにあるんだろうなあ。
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