2012/04/14

地に足をつけた経済学書 ― 『スタバではグランデを買え!』


スタバではグランデを買え!: 価格と生活の経済学 (ちくま文庫)スタバではグランデを買え!: 価格と生活の経済学 (ちくま文庫)
(2012/01/10)
吉本 佳生

商品詳細を見る



かねてから「経済学を知りたい」とは思っていた。だが、ひとくちに「経済学」とはいっても、色々な分野がある。

考えた末、わたしが最初に試したのは、有名な経済学者の理論から学ぶことだった。教科書で習った人名を思い出しつつ、一般向けの経済学書として初めて読んだのが『経済学はこう考える』(根井雅弘/ちくまプリマー新書)だ。

しかし、これがどうもおもしろくない。ジュニア向け新書だから書いてあることは理解できる。だが、どこかピンと来なかった。

その後、色々な本を手にしてみた。結果、本書のような実生活密着型の経済学書が一番ためになると知ったのだ。

経済とは、大雑把に表現すると「世の中の資源(お金)の動き」そのものである。言うまでもないが、実生活と経済は表裏一体の関係だ。ということは経済学の理論も、実生活と密着させながら学んだほうがよい――行き着いた結論はこれだった。

しかし残念ながら、経済学をそのように学べる本は少ない。その点、本書はこの「実社会と経済理論のつながり」をきちんと書けているところがすばらしい。「当たり前」のように行われている経済活動を、「当たり前」のままにせずに、「経済学」というツールで、そのしくみを分解していく過程が非常に興味ぶかい。

特におもしろかったテーマは、以下の章。

第1章「ペットボトルのお茶はコンビニとスーパーのどちらで買うべきか?」

ペットボトル飲料はたいていの場合、コンビニの方が高い。価格だけの比較ならスーパーで買ったほうが特だ。しかし、そうと知りつつもコンビニで買う人がいるのはなぜだろうか。その裏には合理的な理由がある。

第4章「携帯電話の料金はなぜ、やたらに複雑なのか?」

わたしが携帯電話をあまり好まない理由のひとつが、料金制度の複雑さにある。ところが、電話会社はあえて複雑にしているのだ。「儲けるとはどういうことか?」を考えさせられる章である。

第6章「100円ショップの安さの秘密は何か?」

なぜこれが100円で買えるのか不思議に思うことがたまにある。もちろん、人件費が安いからという単純な理由だけではない。これは、製造ラインのちょっとした「スキマ」を突いているのだ。


学問上の理論は、つねに「身近なもの」とセットで学ぶべきだと思う。小学生の時までは、そうやって勉強するのが普通だった。それがいつしか、理論だけの勉強になっていく。哲学にせよ法学にせよ、とにかく重要視されるのは「理論」であって、「その理論を実社会へ応用するとどうなるか?」ではない。むしろ応用することを「なんだか低級なもの」と見なしてしまう感さえある。

わたしは、本書著者である吉本佳生のような人が、学者や先生として増えればいいと願っている。こういう人が教えれば、勉強嫌いな生徒や学生は減るかもしれない。
関連記事