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2012/04/22

小説のような歴史書 ― 『物語 フランス革命』

物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)
(2008/09)
安達 正勝

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おもしろい歴史書には共通点がある。それは、「あたかも物語のような錯覚を与えてくれる」ところだ。これは史実の内容如何よりも、著者の筆力によるところが大きい。そのため、読み物としての歴史書ならば、学者よりもむしろ「文章のプロ」である作家に書かせた方がよい、と私は思っている。

ところが、本書の著者・安藤正勝は仏文学者だ。ゴテゴテの歴史解説ではなく、物語としての歴史、流れとしての歴史を意識した文章が非常に魅力的である。世界史に弱い私には、大変ありがたい本だ。

本書を読むまで、私は革命前のフランスを誤解していた。財政崩壊の発端は、マリー・アントワネットの自堕落な生活と、貪るような荒い金遣いのせいだと思っていた。しかし、彼女の支出は、全体でほんの数パーセントとしか占めていなかったそうだ。マリーは、「パンが食べられないなら、ケーキを食べればいいじゃない!」というセリフで有名だが、「ケーキ」だけの支出など、たかが知れていたということか。

マリーの夫であるルイ16世も、従来では悪者扱いされることが多かった。ところが最近では、むしろ高く評価されているという。優柔不断な側面が多かったものの、その知性は非常に優れていた。マリー以外の女にはいっさい手を出さなかったという、「したたか系男子」な一面を持っていたらしい。ギロチンの性能を上げるため、斜め刃を考案した理系男子でもある。のちにこの刃で愛すべきマリーの首がはねられてしまうのは、なんとも皮肉な話だ。そして、なんと趣味は錠前作り。いま生きていれば、たぶんオタクになっていただろう。

メートル、リットル、グラムといった一律の度量衡が確立したのもフランス革命の時である。有史以来の大仕事であると考えたためか、フランス人はまったく新しい制度を望んだ。いまでは当たり前のように、この度量衡が使われている。その裏側は、血と涙の結晶によって支えられているのだから、なんとも言えない。以後、これらを目にするたび、「ああ、この“kg”はフランス革命とともに生まれたのであり、それは血と涙の結晶なのだ!」という感慨に、私は(ひとりで)浸りたい。

世界史の中でも、「フランス革命」はトップ5にランクインするぐらい人気な箇所だろう。予備知識に乏しくとも楽しめる良書である。
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