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2012/05/21

「日本人」というプレミア ― 『中国人エリートは日本人をこう見る』

中国人エリートは日本人をこう見る (日経プレミアシリーズ)中国人エリートは日本人をこう見る (日経プレミアシリーズ)
(2012/05/09)
中島 恵

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大学2年の時、とある中国人留学生の女の子と知り合った。親元を離れ、コンビニのアルバイトで生計を立てながら、彼女はひとりで勉強していた。卒業後はイギリスの大学院に進学したいとのことだった。

日本語ペラペラ。中国の歴史も文化もきちんと知っていた才女である。非常に勉強熱心な子だったから、わたしも大いに刺激を受けた。その一方で感じる、ある種の恐怖感――こういう子たちが、どんどん日本の大学に来て学べば、それこそ日本人大学生は留学生に太刀打ちできないだろう、と。

本書は、そういった勉強意欲旺盛な中国人留学生たちが主人公である。タイトルに「エリート」とあるが、これは学歴だけの話ではない。意識の面で、もうすでに彼/彼女たちは「エリート」である。言葉の端々に感じられる、「なんでも学んでやろう」という貪欲さ――最近の日本企業が、外国人留学生を積極的に採用するのも当然だろう。

だがその一方で、「日本に生まれていれば・・・」という憧れも見え隠れする。エリート中国人留学生から見れば、日本にいられるのがどれだけ素晴らしいことか、感じられて仕方がないのだろう。大学はもちろん、日本企業の研修制度、飲食店に出てくる無料のお冷、日本人のマナーの良さ、キレイな空気、自由なネット環境、清潔なトイレ、治安の良さ、などなど。わたしも聞いたことはあったが、やはりどれも今の中国では、日本と比べて不備だという。「生きてるだけで丸儲け」ならぬ「日本人というだけで丸儲け」といったところか。

中国が日本を抜いてGDP第2位になった一昨年の2010年。我が国では、この順位争いに敗れたことが大きな話題になった。が、中国人からすれば「だからなに?」程度のものらしい。数字は変化すれども、内部環境はさして変化せず、が実情だという。

五年前に来日し、コンピュータの研究をしたあと日本企業で働く蒋楊(二十八歳)も少し呆れた素振りで首をすくめる。
「(中略)2010年に第三位になって、何か生活が変わりましたか。何も変わらないでしょう?この20年で給料は上がっていないというけれど、生活の質も変わっていない。デパ地下には豪華な食べ物があふれている。まだ相当な余裕を感じます。だから皮肉でもなんでもなくて、日本人はそんなに心配しなくていいと思います」(p75-76)

「勝ち組」「負け組」なんて言葉はあまり使いたくないが、少なくとも「日本人であること」は、中国人から見れば「勝ち組」である、と言えよう(日本は、そこにあぐらをかきすぎた感も否めないが)。

しかし、なんだかんだ言っても、わたしは日本が好きだ。至るところにコンビニと自販機がある。水道水は安全。大量の本と雑誌が安く買える(おそらく世界に出回っている本で、日本語で読めないものは、ほとんどないのではないかと思う)。おいしいごはんが食べられ、製品のアフターサービスも充実。映画館や美術館がたくさんある。夜中に外を出歩いても危険はかなり少ない。ここまでハイスペックな国は、まず、ないだろう。

カナダのビクトリアとバンクーバーを旅行したことがある。治安の良い国としてよく知られているが、それでも夜中に出歩くのは危険だと言われた。水道水はなるべく飲まないようにと言われたし、コンビニも自販機も日本ほどはない(ましてや自販機が外に置いてあることなど、ほとんどなかった)。

日本は「オワコン」(=終わったコンテンツ)ではない。優秀な国だ。優秀と思えるほどの生活水準を、優秀なまでに維持し続けられるほど優秀である。

本書を読んで日本を愛せ、と言うつもりは毛頭ない。しかし、今の日本を見直す必要は大いにありそうだ。
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